おきつね神社
「達也、おまえ明日夕方きつねんとこ来れる?」とは洋介のことば。
「え? 夕方? やだよこえーじゃん。夕方はそこ行くなってガキの頃から言われてんだろ洋介、おまえ忘れたの?」
達也は自宅の自分の部屋でパソコンを操作しながらスマホで話をする。
「忘れるわけねーだろ。ほら、肝試しにさ、女子も誘ってなんかやろうって話してたじゃん。その仕込みに行こうって言ってんだよ」
「……あれって、え、その仕込みっておまえやるんだっけ?」
「違うけど、いいこと思いついたからさ。女子も来るなら怖くしたほうがおもしれーじゃん。それに、仕掛けが分かってたら何かとかっこつけられると思わね?」
「あ、それいー考え。さすが。てかだったら昼間行こうぜ、明るいうちにさ」パソコンのゲームを開始した。
「バカ。夕方からやんだからその時間に行っとかなきゃ意味ねーじゃん。おまえミアちゃんものにするって言ってたろ」
「おお、手伝ってくれんの?」
「……じゃ、明日な」
「お、おう。答えが無いのがあれだけどまーいーわ。じゃな」
言うと、達也はパソコンに向き直った。
洋介の顔には笑みはなく、じっと睨んだ先はパソコン。そこには達也が今まさにやっているゲームと同じモノが画面が叩き出されていた。