君色のソナチネ




「逃がすわけねぇだろ。」


腕を掴まれたと思ったら聞こえてきた声。


そしてあっという間に向きを直され、おデコこつん。



え''っ、え''ぇ''ぇえええー‼︎


いったい何なんだっけ。


うんーと、えぇーと、あっ、パニックだ!
私の頭、今パニック中なんだ‼︎


取り敢えず、私の心よ、静まれ、静まれ。


あ''ー、静まらない‼︎


こんなシーン、ミュージカルの中にあったっけ?

いや、ないよね?うん、ないもん。


じゃあ、これはいったい何なんだーーーっ‼︎



助けてー‼︎誰かこの状況を助けて!
私どうしたらいい?



「ほら、謝れよ。」



でも聞こえてきたのは、救い主の声じゃなくて、悪魔の声。


悪魔はそうやってニヤりと笑ったの。


もうたぶん、私の顔は真っ赤っかだな。
だってこんなにもドキドキしてて、頭真っ白だもん。




でも、これ以上は、胸が張り裂けそう。

だから、熱くって熱くって、緊張で強張った喉の筋肉を必死に震わせて、頑張って言葉を絞りだす。




「ご、ご、ごめ、ん、なさ、い。」










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