君色のソナチネ
「最初からそう言えよ。」
いや、言ったよ、私。
謝ったよね、一応。
素っ気なくなってたけど。
そんな気持ちが顔にでてたのかな。
「ツンっ」
おでこを突かれた。
地味に痛いよ、神峰君。
突かれた所を摩りながら顔を上げると、そこにあったのは、満面の笑みを浮かべた、天使の笑顔だった。
あぁ私、本当に可笑しくなっちゃったんだ。
だって、あんなやつが天使に見えるだなんて。
でも、これでよおーく分かった。
実感したよ、華菜。
ーーー私、彼のこと、本当に好きなんだ。
でも、私は彼の彼女なんかじゃないし、彼は私のこと何とも思ってない。
なんでもっとって思うんだろう。
自分の気持ちに気がついたばかりなのに。
ふと現実を思うと胸が痛む。
これも私にとっては、初めての感覚で。
やっぱり私、片思いってやつをしてるんだ…。
ズキズキ苦しくて、でもどこかで淡い幸せを感じるこの感覚に、私はしばらく浸っていた。