君色のソナチネ
そう思ってるうちに会議も終わっちゃった。
最初の頃は、しっかり話聞かなきゃなんて思って頑張ってたけど、結局毎回、意識が別のところへ飛んでるんだよね。
だからもう諦めた。
神峰がメモ取ってくれてるから、そこは安心して諦めさせてもらった。
さぁ、教室に帰って今日もミュージカルの練習がんばるかー‼︎
と思って、会議室を出て行こうとした時に、呼び止められた。
「純怜ちゃんっ‼︎」
ん?この声は、
「柏木先輩っ‼︎
あっ、それに相園先輩も!
どうしたんですか?
私に手伝えることですか?」
神峰に''先に帰ってて''と伝えてから、先輩達の方へと駆け寄る。
柏木先輩は教室の奥、窓側にある委員長席に座ってて、相園先輩はその隣にたっていた。
「違う違う、そんなんじゃないよ!
ちょっとお話しようと思って。
純怜ちゃん、面白いから元気でるの。」
面白いって先輩。
褒め言葉として受け取っておきますね。
「それと、純怜ちゃん。
いつも名前で呼んでって言ってるじゃないの。」
「いや、だって、あの〜…」
先輩だし。尊敬してるし。
「文化祭終わったら、名前で呼ばせていただきます、はい。」
ここはちゃんとしておきたい。
「うん、分かった。
純怜ちゃんって、いっつも抜けてるのに、そういうところはちゃんとしてるよね。
私も見習わなきゃ。」
そう言って、隣にたって窓の外をみている相園先輩に微笑む柏木先輩。
それにフッと笑みを漏らして答える相園先輩。
かわいくって、かっこよくって、絵になる先輩達だなぁと思ってみてると、
「最近純怜ちゃん達の2年生の音楽科のクラス、ミュージカル頑張ってるそうじゃない。星がいってたわよ。ねぇ、星?」
「あぁ。」
嘘、先輩、見てくれてたんだ。
ありがたいなぁ。
「そんな、まだまだです。
まだ、頑張りますよ〜‼︎」
「うぅんっ!その意気だね‼︎
さぁて、ラストスパートだよ、星!
純怜ちゃんも!」
「あぁ、そうだな。」
「はい、頑張ります!」
今まで以上に頑張ろうと意気込んだのはいいけれど、次の先輩の言葉に、危機感を覚えずにはいられなかった。