君色のソナチネ
ー奏sideー
先に帰ってと言われてもな。
もう外暗いし、中央棟と音楽棟までは距離も少しある。
例え学校の敷地内だとしても、危ねえだろう。
そう思い、引き返す。
中央棟の入り口。
たしか、そこの前に大きな銀杏の木があって、その幹を囲むように煉瓦でつくられたベンチがあったよな。
そこで待つか。
と思い、純怜を待って5分。
もうそろそろ出てくるだろうと思っていると、
出てきたのは怪獣だった。
出てきた瞬間にあげる雄叫び。
いや、自分の好きな女を怪獣呼ばわりするのはさすがにダメだよな。
だが、人間が出す悲鳴で鳥達が、''バサバサバサァ〜''なんて飛んでなんていかねぇだろ普通。
ある意味待っていて正解だったな。
そう思い、俺がここにいたことも気付いていないであろう、地面にしゃがみこんでいる純怜の元へ急ぐ。