君色のソナチネ




頭をツンツンと突くと、顔をあげる純怜。
…泣いてるのか?




「奏?」


「あぁ。」


「ふ、ふ、ふえ''〜〜〜ん」



「おいおい、どうした。」


泣きながら、子供のように俺の足元へ縋り付いてくる。

こいつ、泣いたら子供っぽくなるのか?
可愛すぎねぇ?


おっと、不謹慎か。


俺もしゃがんで、純怜に目線を合わせながら、抱き寄せ、背中をポンポンと軽く、叩いてやる。

人間はこうされると、安心して抱えてるストレスが半減するらしいから試してみた。


「ゔ、うえ〜ん」


おいおい、さっきよりも泣いてどうすんだよ。


「落ち着けよ。」


「おぢづける''わげな''いじゃん'' 」


「落ち着かねぇとなにがあったか話せねぇだろ?落ち着け。そして、俺に話せ。何か解決策が浮かぶかもしれねぇし。」




俺がそう言うと、純怜は自分の手を胸元に寄せながら、頭を俺の胸に寄せてきた。


「ちょっと''ごうしてでもいい''でずが。」


なんて言いながら。


''あぁ、俺の理性が壊れてもいいならな''


なんて言えるはずもなく、無防備で、天然で、無意識で、俺の心を簡単に乱すこいつの小さな身体を抱きしめながら、


「いくらでもどうぞ、お嬢様。」


と、俺らしくもない言葉を発していた。


自分で自分の発言に寒気がする。


あのミュージカルのせいで、ルーカスの性格が移っちまったんじゃねぇかと本気で心配してしまった。



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