君色のソナチネ




「だから、いちいち気飛ばすなっつーの。」





そういって、私の手は、神峰に掴まれて、神峰のぽけっとにインされた。



きゃーーーー‼︎


「な、な、な、なにやってんのよっ!」

これ以上神峰のこと好きにさせないでよ。

離れられなくなるじゃん。




「何って、お前いつもしてる手袋今日してないだろ。

手赤くなってるし。

霜焼けでもできたら、大変じゃないか。」



「嘘だ。もう外真っ暗だよ。

手が赤いなんて分かんなかったくせに。」




そう言うと、掴まれてた手が緩む。


神峰がいちいちかっこよすぎだから、本当はすごくすごく嬉しいけれど、恥ずかしくて、思わず可愛くないこといっちゃった。


怒ったかな…。



「うるさい。
そしていちいち余計なこと考えんな。」



そういって、ポッケの中にあった手は、神峰によって絡まされる。



こ、こ、恋人繋ぎってやつだよね??



どどど、どうしよう、手から吹き出る水。

いや、そこかよ。

だってだって、どんなに緊張した本番でも手汗なんかでないのに〜〜‼︎



神峰のせいだ‼︎
もう知らないからね‼︎

私、あんたを片思いし続けるから‼︎



「あんたのせいだからね‼︎」


「なにが。」





「ふんっ、知らないっ‼︎」





「…もしかして、俺のこと、好きになっちゃった…とか?」





「☆4¥%○\2$ッッッ」


「冗談だぞ?」


っですよね〜‼︎
はいはい、もう慣れましたよーだ。



「ほら、いくぞ。」



手はそのままなんだね。

素直に嬉しい。




「神峰、今日はありがとう。
そして、いつもありがとう、ね。」


呟き程度になってしまった声。

何も言わない神峰。



でも、聞こえたみたい。

だって、手に一瞬だけ、キュって力を感じたから。

幸せだぁ。




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