君色のソナチネ
ー奏sideー
フッ。
お腹きついから着替えてくるって、あいつどんだけ食ってんだよ。
可愛いやつ。
純怜のおじいさんと話しながら、そんなことを思う。
「神峰君、あの子のこと、大切にしてやってくれ。」
「はい、勿論です。
今はそんな関係ではありませんが、ちゃんと自分の気持ちを伝えるつもりです。大切にします。」
「そう聞けて、安心したよ。
俺たちももう先は長くないからな。」
「そんなこと…。」
おじいさんの顔をみていると、最後まで言えなかった。
「神峰君、今日初めて出会った君に言うのはどうかとも思ったんだが、君は信頼できると前から確信していたから言おうと思う。」
おじいさん、俺のこと知ってたのかな。
いや、それはないだろ。
今日はじめて純怜の家に来たし。
「…はい。」
腑に落ちなかったが、返事をしておく。
「俺たちがいなくなった後の純怜を考えると、どうしても不安だったんだが、君が隣にいてくれるんなら安心だな。
だから、言おうと思う。
純怜はな、昔……」
「はぁーだいぶ楽になったなぁー!」
おじいさんが、そこまで言いかけた時、純怜が2階から降りてきた。
「この話は、また今度な。」
純怜には話せない内容なのかと気になったが、こちらから聞くのは失礼だと思い、何も言えなかった。