君色のソナチネ




それよりそれより、明日からの文化祭の成功を祈っておこう。

そう思って、静かに目を瞑る。


頭に浮かんでは消える、大変だったけど充実していた日々。


明後日で、文化祭が終わるってことは、実行委員も明後日までってことか。


まだ文化祭が始まってもいないのに、そんな事を思う私。


だって、神峰の隣で堂々としていられるのも、明後日までってこと。

そして、そこで私の初恋も終わらせる予定。


きれいさっぱり、神峰に対する気持ちを忘れようと思う。



なのに…。


頬を伝う涙。




ああ、私泣いてるんだ。

涙を拭いながら思う。




いつの間にか忘れられないくらいに神峰のことが好きになっていて…。


「…離れたくないよ。こんなに好きなのに。」


それが今の素直な私の気持ち。




何度も伝えようと思った。
あいつが優しくしてくれる度に。




でも、弱虫な私は、




''別に何とも思ってない''

って言われるんじゃないか。





''お前、うける''

ってからかわれて、流されるんじゃないか。





''お前、俺の事そんな風に思ってたのか?''

って引かれて、次の日から話してくれなくなるんじゃないか。






嫌われるのが一番嫌で、怖くて、気持ちを伝えることが出来ないんだ。




それに、いつも神峰の前では憎まれ口を叩いてしまう。

だからたぶん、神峰は私の事、ただの友達としか思ってないと思うんだ。もしかしたら、友達以下かもしれない。





いろいろな事が頭を巡って、こんなに好きなのに、どうしても''好き''というたった二文字が言えない。

言えないことが苦しい。




でも、やっぱり神峰と一緒にいたい。


そう思ってしまう私って、ズルいですか?



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