君色のソナチネ
ー純怜sideー
ふぅー。
なんとかここまでやってきたなぁ。
紗良がルーカスに、役に選ばれた事を報告する場面。
危うく、舞台の緊張感に飲まれそうになったけど、神峰に助けられた。
あいつ、アドリブ入れてくるんだよ?
そっちに気をとられて緊張感に飲まれてる場合じゃないでしょ。笑
ニヤっと笑った神峰を見た瞬間、あぁ、私の為にしてくれてるんだなぁって分かったから文句なんて言えないけど。
それにしても、緊張すると、始まるまでは長いのに、始まったらあっという間で、ここからはもう、ミュージカルも終盤。
ってことは、もうすぐじゃん。
ルーカスが紗良にプロポーズする場面。
きゃーっ‼︎
耐えれるかな。
だって私、あんなにかっこいい神峰にプロポーズされるんだよ?
あっ、違うか。
ミュージカルの世界で、紗良がルーカスにプロポーズされるんだ。
うん、耐えなければっ!
ミュージカルを台無しにしたら、シャレにならないぞっ、私‼︎
…「「純怜、頑張って‼︎」」…
そう言って声をかけてくるみんなの為にも、次の場面、絶対成功させなきゃ。
でも、そう言われると、軽くプレッシャーなんだよね…。
やばっ!
そんな事思ってる場合じゃないっ!
ドレスに着替えなきゃだ‼︎
次は、紗良が王女様を演じてる場面だった!
「純怜落ち着いて、大丈夫だから。」
そう言いながら、華菜が着替えるのを手伝ってくれる。
そのおかげで、すぐに着替えれた。
これを着るのは2回目。
やっぱりこれ、私には…。
…ほら、みんなも口を開けてポカーンてしてるし。
あっ、でももう今さらか。
しょうがないっ‼︎
私、水姫 純怜、正々堂々、恥をかいてきます!
そう決意して、舞台に出ようとすると、
「あっ、まって純怜!
ティアラティアラっ‼︎」
あっ忘れてた。
華菜はそういって私の頭にティアラを乗せてくれた。
「ありがとう。」
そう言って、舞台へと踏み出した。