君色のソナチネ
静まり返る校内。
この特設ステージ周辺だけが異様な熱気に包まれている。
今、私はミスター空丘と同じように自己紹介を終えたところ。
それで、多分次は質問タイムってやつだよね。
うぅ''。
緊張してきた。
と言うか、気が重い。
だって、さっき神峰、かなりズケズケ質問されてたし。
神峰は気付かれないくらいさらりと上手く質問をかわしてた。
私からすると、かなり恥ずかしいことをいわれたんだけど…ね。
でも、私には神峰みたいに上手く質問をかわせる自信なんかないよー‼︎
こんな大勢の前でピアノを弾くことはあっても、喋ることはないから…正直今、かなり上がってる。
ここまで上がってたら自分でも何言っちゃうか分かんないな。
もうこれは、シンプルな質問が来ることを祈るしかない!
「では、最後に皆さんもお待ちだったことでしょう!水姫さんへの質問タイムです!
聞かれたことには絶対答えてくださいね!」
う、なんかこの男の先輩、怖いし。
みんなにはそんな事言ってなかったよね?
お願い!神様!
「水姫さんは、昨日、神峰君に大胆な告白を受けていましたが、どう思いましたか?」
「…、…。」
いつもいつも、神様は助けてくれるわけじゃなかった。
そりゃそうか。
でも、本当にズケズケ聞いて来るんだなぁ。
あり得ない。
プライバシーもなにも無いじゃん。
「正直いって、覚えてないです。」
本当に、ドキドキしすぎてあまりあの時の記憶なんてないよ。
ちゃんと正直に聞かれたこと答えたし、うん。
「うーん、それは残念ですねー。」
なにが残念だこのやろー!
先輩相手に思わず睨んでしまう。
でも、それには気付かなかったのか、また恥ずかしいことを聞いてきた。
「では、質問を変えましょう。
神峰君へのラブラブな気持ち、聞かせてください。」
あーのー、
言えるわけないでしょ、恥ずかしすぎる。
というか、ミス空丘を決めるための質問タイムだよね?
これ全然関係ないじゃん。質問じゃないし。
ベストカップル空丘なわけじゃあるまいし、なんでこんなのに答えなきゃならないのよー、本当にあり得ない。
でも、ここら一帯で広がる沈黙が私に追い討ちをかける。
これ、答えなきゃいけないの?
本当に?
いくつもの視線が刺さる。
うゔっ。
「…す、す、す…きで、す。」
……………「「うおーーーー!」」……………
……………「「きゃーーーー!」」……………
広がる歓声。
「ひゅーひゅー!」
「ラブラブぅ〜!」
いろんな声が飛んでくる。
は、は、恥ずかしい。
ここに隠れる用の穴をつくってください。
「いいですねー!初々しいですねー‼︎
羨ましいです!」
ふぅ、やっと質問タイムが終わったぁ。
なんて思ってたのに。
「では、最後の質問です。
音楽のことも一応聞いておかないと、いけないですからね。」
一応って…。
普通そっちが主でしょ!
「水姫さんは、何歳からピアノを始めたんですか?」