君色のソナチネ
「顔色もだいぶよくなったし、結果発表、見に行けそうか?」
「うん、いくよ!」
そういうと、笑顔になる神峰。
結局、ミス空丘は辞退させて貰ったんだ。
本当はでたかったんだよ?
神峰の彼女として、ふさわしくなれるように、少しでも皆に認めて貰えるように、頑張りたかったのに。
''また来年、出ればいい''
神峰がそう言ったから。
来年出れるなんて、そんな奇跡ありえないのに。
''それに、お前はそれ以上を目指さなくても十分だ。俺は、今のお前を好きになったんだから。''
でも、そう言ってくれたから、私は無理はしないでおこうって思えた。
そのおかげか、すっかり体調もよくなった私。
結果発表だけは見逃せない。
神峰の勇姿、みたいもん。
「じゃあ、いくぞ。」
そう言って、また私をお姫様抱っこする神峰。
「ちょっ、ちょっとー!
神峰、重いからおろしてー!」
なによりはずかしい。
そんな私の気持ちが分かったのか、
「ん?軽いけど?」
ニヤッとしながら言ってきた。
「もう、恥ずかしいからおろしてー!」
そう言って、身をよじろうとするけれど、ガッチリと抱かれた体は動かない。
「じっとしてねぇとあぶねぇだろ。」
「じゃあおろしてよ!」
「だめだ、まだお前は病人。」
「えー!もうこんなにピンピンしてるよ?」
「っるせぇ、黙ってねぇと口塞ぐぞっ!」
ひぃっ!
負けるな私!
屈したら神峰の思うツボだよ!
「なによそれー!
こんの俺様エロおとkーーーっ‼︎」
え?本当にしちゃう、感じですか?
しかもお姫様抱っこされたままですか…。
さっきの耳元で囁かれた時の色気といい、本当に心臓がもたないよ〜!
かなり照れるんですけど…。
「照れるくらいなら、最初から俺のいうこと聞いておけ。」
「ごめんなさい。」
神峰君には勝てません。