君色のソナチネ
ー奏sideー
あいつ、料理できんのか?
そう不安になったのは最初の10分だけで。
素人の俺からみても分かる手際のよさに、頭の中にあるレシピの豊富さ。
他の3人も料理はうまい部類に入るのだろうが、純怜は別格に見える。
彼氏バカなのか?
60分経った時には他の3人はもう料理を作り終えていた。
純怜だけが、最後まで忙しく手を動かしている。
そしてでてきたのはフランス料理のフルコース。
懐かしい味。
「どう、かな…?」
そう言って俺の顔を覗き込んでくる純怜。
「うますぎるだろ。」
そう言った瞬間に赤くなる純怜。
こいつ、いったい何者だよ。
ピアノ弾いてると親から料理すんなって言われるからか、料理ができない奴が多い。
でもお前、フランス料理店できるぞ、絶対。
本当に感動した。
俺は本当に幸せ者だと再確認する。
審査員の奴らも、美味いと言いながら食べている。
1位、とれるな。
純怜の普段とのギャップに驚かずにはいられなかった。