君色のソナチネ




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『では、結果発表に参ります!

今回のベストカップル空丘はレベルが高く、どのカップルも最高でした。

その中でも、最後まで二組のカップルが、優勝争いを繰り広げ、どちらも甲乙つけがたく、同率1位にさせて頂きます!

ご理解、お願いします。



では発表します!


ベストカップル空丘、

一組目は、


相園 星君、柏木 知香さんです‼︎』



その瞬間おこる歓声。

顔を赤くして俯く柏木先輩。

その先輩を優しそうな目で見る相園先輩。

本当に、ベストカップルだと思う。




『二組目は、



神峰 奏君、水姫 純怜さんです!』



え?嘘っ!



『水姫さんの圧倒的な女子力、それに、神峰君の水姫さんをおもいやる優しさ。

ラブラブ感を見せつけられましたー‼︎』


うぅ、本当に私達なんだ…。

嬉しすぎるよ…。



「純怜。」

「ん?なぁに?」

「顔、真っ赤だぞ。」

「もう!いちいち言わないでっていってるでしょ‼︎」

「ありがとう、お前の力だよ、純怜。」

「…ん。
こちらこそ。」



また、新しい発見をした私達。

もっともっと、好きになったよ、奏。





『それでは、グランプリを獲った、二組のカップルには、2人での共同作業を何かしてもらいましょう‼︎
まずは、相園、柏木カップルから!』


わぁ、凄いっ‼︎

柏木先輩、バレエもやってたんだぁ。

相園先輩のバイオリンに乗せて、くるくると回る先輩。

綺麗。

先輩達、本当にかっこいいです。

尊敬してます。





「純怜、なにやる?」

「え?」


…やっぱり、


「連弾、やるか?」


私の考えてる事なんてもうすでにお見通し。


「うん!!」





2人の音色が絡み合いながら一帯を包み込む。

『神峰!急に変えないでよ!合わせんの一苦労なんだよ?』

『お前だって音増やしてるだろ。
俺様が濁らないようにペダル踏んでやってんだからな。』

会話をする私達。

もちろんピアノで、ね?



モーツァルトのきらきら星変奏曲。

あ、私たちが即興で変奏してるから、私たちの変奏曲になるのかなぁ…。

モーツァルトに作曲されてから、約三百年が過ぎた。

楽譜は国境を越えて、時を越えて、私たちによって今、音となり、音楽となる。

今日の良き日、文化祭も無事に終わりを告げようとしている。

気がつくと、空はきらきらと輝く星たちでいっぱい。

そんな満天な星空へと消えていく私たちのきらきら星変奏曲。

私たちの音楽はその星達まで届いてるかな?

届いているといいな、モーツァルトが生きていた時代も変わらずに見守っていた星々へ。

そしたら、モーツァルトにも届く気がするんだ。






私たちの音楽、素敵でしょ?
モーツァルトさん。ーーーーー







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