君色のソナチネ
今、音楽棟東校舎、屋上。
「ねぇ、神峰。」
「…ん。どうした?」
「私、今幸せ…。」
「あ?…あぁ。」
ベンチに座ってる。
後夜祭を抜け出してきたの。
聞こえる賑やかな音は遠い。
本当に、学校なのに、こんなに遅くまでよくやるよ。
昨日寝てないからもう眠くて眠くてたまらない。
「ねぇ、神峰。」
「ん?」
「私、昨日寝てないんだよ?
神峰のせいで。」
「ふーん。
俺のことずっと考えてたんだ?」
「当たり前じゃん、あんな事されたら頭から離れないよ。」
「あんな事って?」
ニヤって笑う神峰。
う、しまった。
なんで自分で墓穴掘ってるんだろ。
「純怜?」
「…き、キ、す。」
「ふーん、純怜はキスされたら眠れなくなるんだぁ。」
「ねっ寝る!
また肩かしてよ‼︎」
「寝かせるわけねぇだろ。
さっき、お前が震えてて出来なかったからな。
それに、今煽った責任とれよ?」
「煽ってなんーーーっ‼︎」
…か、ない…。
きゅん。
な、長い。
「…く、るし…よ、かみ、ね…」
息、息しないと死んじゃうー‼︎
必死に口を開ける。
「んんッ…、」
でも、息を吸うことを許してはくれなくて。
神峰の舌が…つんつんって私のそれをつついてきた。
わ、わ、わ、わ、どう、どうしよ。
どうしたらいいの?
気が遠くなって…
その瞬間、入り込んでくる酸素。
「ふぁ、はぁ、はぁ。」
「なんで息とめてんだよ、ぷっ。
目閉じて、俺に任せろ。」
「はぁ、はーーーーっ‼︎」
また降ってきたキス。
でも、今度のは今でのと比べ物にならないくらい、深くて強引な甘い、甘いキス。
「純怜、鼻で息しろよ。」
目を閉じて、耳元で囁いた神峰に全てをまかせると、体が火照ってきて、とろけそう。
初めての深いキスに戸惑いながらも、心地よさを感じていた。
神様、ありがとうございます。
私、今、幸せ…です。ーーーーー