君色のソナチネ
「でもさ、なんで先輩と付き合ってたこと、隠してたの?」
「そうよ、私たちには教えてくれたって良かったんじゃないの〜っ?!」
冗談交じりに言う華菜。
「うーん、隠すつもりはなかったんだけど…。
ルイって、アメリカ育ちの癖に、性格は根っからの日本人で、草食系、なんだよね〜…。
もやしよ、もやし!」
「も、もやしって…。」
「付き合ってることなんて、他の人に教える必要あるの?って言うタイプ?」
もやしとはちょっと違うような…?まあいいや。
「へぇ〜。
自分達が愛し合ってたら、それだけでいいって感じ〜?
大人〜‼︎
そんな男の人って、2人の時、熱そう!
豹変したりして?」
ニヤニヤしながら言う華菜。
赤面する樹音。
「…図星、なんだ?」
もう樹音の顔は真っ赤っか!
「やっぱりアメリカ育ちなだけあるよ〜‼︎」
「そうなのかな〜…。」
「うんうん!」
嬉しそうに頷く華菜。
華菜って、本当にこう言う話好きだよなぁ。
「それで?
華菜は、根崎とはどうなの?」
「それはそれは、順調ですよ〜‼︎」
あははは、そうですか。
ラブラブでいいこと。
「そういう純怜はどうなのよ。」
へ、わたし?
「朝一緒に登校して、夕方一緒に下校してる‼︎」
「それは当たり前でしょ!
そうしてなかったら怒るわよっ、私の純怜、とったんだから。
せっかく朝一緒に登校してたのに〜‼︎」
口を尖らせながら言ってる華菜。
「うう、ごめん。」
「ん?別にいいよ。
私も根崎と一緒にいれる時間増えたしっ!」
パァッと嬉しそうにハジける笑顔。
華菜さん、さっき怒ってたのは演技ですか…。
「デートとかしたんでしょ?」
樹音に聞かれた。
「してないよ?」
「えぇ?まだなの?!」
「うん。」
「うん。ってねぇ、純怜!」
「登下校するだけで十分幸せなんだぁ!」
一緒にいられるってことがなにより嬉しいの。
だって、告られてなかったら、今頃神峰の側にいられなかったんだよ?
このままでいいの。
平凡なのが私たち。
のほほんと、ね。」
「いや、あんた達、一生平凡ではないと思うよ?」
「クラスの中で、あんた達2人が1番平凡から遠いわよ。」
2人の言ってることが分からない。
「まぁでも、それは置いといて、人それぞれだから、いいのかもしれないわね、それでも。」
窓の外を見ながら呟く華菜。
「まぁ、ね。
…うん、それもいいのかも。」
それに頷く樹音。
あぁ、やっぱり、居心地がいい。
無理やり意見を押し付けない2人。
ある程度まで押したら、ちゃんと引いて、意見を尊重してくれる。
「でもさ、ちゃんとやる事はやってるんでしょうね〜‼︎」
「ん?やることって?」
「キスとか、その先よ!」
「へ?その先ってのはよく分からないけど、キスは文化祭以来やってないよ?」
「「っっはあぁ??!?」
「え?なに?」
「…はぁ、神峰君、ご愁傷様です。」
「激しく同意します。
まぁ、それだけ愛されてるってわけね。
このヤロこのヤロォっ。」
えっと… …?
つんつん突くの止めてもらっていいですか、華菜ちゃん…。
「でも純怜、ちゃんとやるべきものはヤらせてあげなきゃだめよ。」
…?
「1分瞬きしないで!」
「え?」
急に変な事を言ってくる華菜。
「それで、少し顎を引く!」
「?」
華菜に被せるように言ってくる樹音。
「「最後に神峰君を見つめるっ!!」」
2人に腕をそれぞれ掴まれる。
「…?」
何言ってんの?
「いい?やるのよ?!」
「今日の帰りよ、か、え、り‼︎」
「う、うん、。」
なにがなんだかよく分かんないけれどやってみる、か。