君色のソナチネ
うわっ、ゲームセンターってこんなにうるさいの?
音に酔いそう。
そう思ってると、すっごく可愛いぬいぐるみが目に入ってきた。
あれ、どうやったらとれるんだろ〜?
欲しいな〜。
「ちょっと待ってろ。」
「え?どうしたの?」
そういって、神峰は私が欲しいと思ってたぬいぐるみの前にいったんだ。
神峰がコントロールしているアームは、私が欲しいと思ってたぬいぐるみの脇の下に丁度入る。
そして、ぬいぐるみはそのまま持ち上げられて…
ーー-ストンッ。
す、すごい。
「すごーい!
これ、難しいんでしょ?
みんな難しいっていってたよ?
それを一回で取っちゃうなんて‼︎」
「ほら、やる。
純怜、これ欲しかったんだろ?」
え?
「ほ、ほんとに…?」
「あぁ。
お前のためにとったんだから。」
もう最高だよ〜‼︎
好きすぎるよ!
「私、なんてお礼したらいい?
あ、お金お金!」
「いらねぇよ金なんか。」
「え、でも…。」
「いい。将来同じ家計になるんだ。
純怜を養ってやることが''当然''と言われない今のうちに純怜には沢山の贈り物をしておきたい。
だから、遠慮なくもらっておけ。」
か、神峰、それって…、そういうことだよね?
神峰もそう思ってくれてるってことだよね?
「う''〜、神峰大好き〜‼︎」
「ちょ、お前泣くな。」
「だってぇ〜、」
「わかったから、取り敢えず外いこう。
お前、この音限界だろ?
というか、俺が限界だ。
ゲーセンなんて10分もいれやしねぇ。
音に酔っちまう。」
それを聞いて、現実に戻った私。
あぁ、もう気持ち悪くなってるよ既に。
は、吐きそう。
「うぅ、早く出よう…。」
ーーーーー
それから近くの公園にやって来た。
神峰も私も軽く酔ってたから、水飲んでひと休みしてたんだけど…。
私だけが音の残響のせいでまだ酔ってる。
神峰はもう回復したみたい。
「大丈夫かよ。」
そういって、私の背中をさすってくれる。
それだけで、治ってきてる気がする。
ーーーーー
「ふぅー、」
「落ち着いたか?」
「うん、もう大丈夫だよ!
神峰、本当にありがとう!
私がゲームセンターに行きたいっていったから、いってくれたんだよね?」
「あぁ、まぁ普段はいかないな。
他の奴に誘われても絶対にいかない。」
「なんだか、ごめんね。
私の為にありがとう。
でも、普段いかないくせに、よく取れたね?」
「あぁ、まぁな。感だな、感。
それはそうと、なんでお前そんな変なぬいぐるみが欲しかったんだ?
そのぬいぐるみのシリーズ、ワースト1位で金集めてないと思うぞ?」
「何言ってんのー!
可愛いじゃん‼︎
このピアノ弾いてる悪魔のぬいぐるみ‼︎
分かるひとは分かるよ!
神峰みたいだもんっ‼︎」
…、…あ。
「へぇー、どこが俺みたいだって?あ?」