君色のソナチネ





うわっ、ゲームセンターってこんなにうるさいの?

音に酔いそう。

そう思ってると、すっごく可愛いぬいぐるみが目に入ってきた。

あれ、どうやったらとれるんだろ〜?

欲しいな〜。





「ちょっと待ってろ。」

「え?どうしたの?」


そういって、神峰は私が欲しいと思ってたぬいぐるみの前にいったんだ。






神峰がコントロールしているアームは、私が欲しいと思ってたぬいぐるみの脇の下に丁度入る。

そして、ぬいぐるみはそのまま持ち上げられて…


ーー-ストンッ。


す、すごい。

「すごーい!
これ、難しいんでしょ?
みんな難しいっていってたよ?
それを一回で取っちゃうなんて‼︎」


「ほら、やる。
純怜、これ欲しかったんだろ?」


え?


「ほ、ほんとに…?」

「あぁ。
お前のためにとったんだから。」

もう最高だよ〜‼︎
好きすぎるよ!

「私、なんてお礼したらいい?
あ、お金お金!」

「いらねぇよ金なんか。」

「え、でも…。」

「いい。将来同じ家計になるんだ。
純怜を養ってやることが''当然''と言われない今のうちに純怜には沢山の贈り物をしておきたい。
だから、遠慮なくもらっておけ。」


か、神峰、それって…、そういうことだよね?

神峰もそう思ってくれてるってことだよね?

「う''〜、神峰大好き〜‼︎」

「ちょ、お前泣くな。」

「だってぇ〜、」

「わかったから、取り敢えず外いこう。
お前、この音限界だろ?
というか、俺が限界だ。
ゲーセンなんて10分もいれやしねぇ。
音に酔っちまう。」


それを聞いて、現実に戻った私。

あぁ、もう気持ち悪くなってるよ既に。

は、吐きそう。

「うぅ、早く出よう…。」




ーーーーー


それから近くの公園にやって来た。

神峰も私も軽く酔ってたから、水飲んでひと休みしてたんだけど…。

私だけが音の残響のせいでまだ酔ってる。

神峰はもう回復したみたい。

「大丈夫かよ。」

そういって、私の背中をさすってくれる。

それだけで、治ってきてる気がする。



ーーーーー


「ふぅー、」

「落ち着いたか?」

「うん、もう大丈夫だよ!
神峰、本当にありがとう!
私がゲームセンターに行きたいっていったから、いってくれたんだよね?」


「あぁ、まぁ普段はいかないな。
他の奴に誘われても絶対にいかない。」


「なんだか、ごめんね。
私の為にありがとう。
でも、普段いかないくせに、よく取れたね?」


「あぁ、まぁな。感だな、感。

それはそうと、なんでお前そんな変なぬいぐるみが欲しかったんだ?
そのぬいぐるみのシリーズ、ワースト1位で金集めてないと思うぞ?」


「何言ってんのー!
可愛いじゃん‼︎
このピアノ弾いてる悪魔のぬいぐるみ‼︎
分かるひとは分かるよ!
神峰みたいだもんっ‼︎」


…、…あ。



「へぇー、どこが俺みたいだって?あ?」







< 193 / 278 >

この作品をシェア

pagetop