君色のソナチネ
啄むようなキスが沢山降ってきたと思ったら、
「6回。」
6回目のそのキスは、やけに長くて深くて、頭がぼやっとしてくる。
…でも、ここ公園。
「…ゃめ…て…っ」
ヤダ、やだよっ!
ここ外だし、人に見られたらどうすんのよ、バカ神峰!
お願い!
「やめてってばーーー‼︎」
ーーードンっ‼︎
「…?」
「…あっ。ご、ごめん。」
びっくりした様子の神峰。
無我夢中で彼の胸を押し返してた。
「…なんでだ?」
そんな悲しい顔して聞かないで。
「見られちゃうよ。」
ごめんね、恥ずかしかったんだ。
「…、それだけか?」
「へ?」
「…はぁ、よかった。」
「え?」
「本当は、何もしないで許してやるつもりだったんだが……
…あの上目遣いなんだよ。
お前、絶対わざとだろ。
人を煽りまくりやがって。」
「…、…?
なんのこと?」
「っ、くそ。
お前どこまで自覚無しなんだよ。
こっちの身にもなれっつーの。」
そっか、私、神峰の気持ち考えられてなかったのかな。
私って、やっぱりだめな彼女なのかもしれないな…。
お願い、見捨てないで…!
ーーーギュッ。
そんな私の悪い思考を停止させてくれるのは、やっぱりいつも奏なんだ。
強引に肩を抱き寄せられ、いつもの安心感に包まれる。
「いちいち、余計なこと考えんな。
お前って意外にそういうところあるよな〜。
まぁ、そういう所も可愛いんだけど。」
「え、えぇ?」
「だから、お前の反応がいちいち可愛いすぎだっていってんだよ、アホ。
思わず奪っちまったじゃねぇか。
6回も。」
「そ、そうだよ〜。
6回はないよ〜‼︎」
照れ隠しで神峰を突き放しながら、思わず意地悪なこと言っちゃう。
それが、予想外に効いたのか、顔が少し青くなった…?
「すまん、調子に乗りすぎた。
…俺の事、嫌いになったか?」
ち、違うの。
「そんな、嫌うなんて、そんなことあるはずないよ?」
神峰のこと、嫌いになれるはずがない。
「…嫌じゃなかったのか?」
そりゃあ、
「嫌だった、」
「…だよな、ほんとごめ「外でするのは。」
「は?」
「…でも、そ、奏からされるキスはい、嫌じゃな…い、よ?
む、むしろ、ももも、もっとし…てほし…かったっていうか…。外じゃなかったら。
…奏のこと、だ、だ、大好き、だから。」
ーー-ふわっ
私が言い終わるのと同時に再び奏の腕に包まれる。
「は、はずかしいよ。」
「すまん、これでも抑えてるんだ、許せ。」
「我慢してるよ、ね…。
キス、して…?」
「ばぁーか。
純怜を抱き締められるだけで十分だ。
気にすんな。」
「…ん。」
「純怜、大切にするから。」
「ん。」
嬉しいよ、その言葉。
「…そういえば、」
「え?」
気になって、上を向くと、
「いいから、そのまま聞け。」
そう言われて、頭の後ろに手を回されて、引き寄せられる。
あー、絶対私のこの異常などきどき、伝わってるよなー。
「さっき、純怜、これが放課後デート?っていってたよな?」
「う、うん…。」
「お前、こんなのをデートって思うなよ?
本当のデート、教えてやるよ。」
「え、それって…」
「明後日の日曜日、11時に迎えに来るから。」
「う、うんっ‼︎‼︎」
やったぁー‼︎
初デート、決まりましたー‼︎
「じゃあ、教会、いくか。」
そうして、私達は、教会へ向かったーーーーー