君色のソナチネ




なんで5分走っただけで靴擦れなんかするかなー…。

私のバカ。



「せっかくのデートなのに…。」


なんだか泣きたくなってきた。







「い''ったーーーーーーいっっ‼︎」

そんな気持ちも吹き飛ぶ程の激痛。

なんだなんだ?


あ、奏。

「叫ぶな、うるさい。
少しは我慢しろ。」

いつ帰ってきたんだーー‼︎



「お前落ち込みすぎだ。
ほら、足動かすな。
もう一回消毒させろ。」


奏の手に持たれているのは消毒液。

さっきのしみる痛みは消毒されたからなのか、納得。


ってか、


「消毒くらい自分で出来るよー!」


「いいから、ほら。」


足を強引に奏の膝の上に乗せられる。

なんだか照れる。
というか、恥ずかしい。
くすぐったい。




って、そんなこと考えてる場合かー!

私は消毒されるのが、治療の中でいっちばん嫌いなんだよー!

注射される方が何倍もまし!



あー、やだやだー‼︎

ジクジクしみる痛みが大っ嫌いなんだよ。



次にくるその痛みを想像して身構える。


「やっぱりむり、ちょっとまって。」


耐えきれずに、消毒液をかけようとした奏の手を両手でとめる。



「は?
もしかしてお前、こわいの?」


「ゔ。」


「まじかよ。」


「あーーー!
もういいから、消毒一回したんだから、もういいよ!」


「だぁめ。
傷が残ったらどうする?まぁ、傷が残っても俺が貰うけど。
それにさっきのはハズしたから少ししかかかってねぇし。」



こんな時に爆弾発言するなーーー‼︎

痛みへの恐怖で素直に喜べない。




それに、なんか奏がお兄ちゃんみたい。

だぁめ。

って、録音しときたかったーー‼︎




こんな事思ってる場合じゃなくて、少ししかかかってないって、えーー‼︎

それであの激痛ですか…。



「ますますむりーーー‼︎」


さっきとは違う意味で泣きたいよ〜。




「そんな顔で見てもだめだ。
なるべく痛くねぇようにするからな。
我慢できたら、ご褒美、な?」



ゔぅ。



「ご、ご褒美って?」


「今言ったら面白くねぇだろ?
まぁ教えてやってもいいが。」


「お、教えてください。」


そっちの方が頑張れます。








「キス。」


は、はぁ〜?

そんなの嬉しくな〜い!

って思おうとしたんだけど、あれ?

奏とキス、したいなんて思ってる自分もいて。



あわわわわー!

自分がわかんなーい!




そんなふうに、私が混乱する事を見越してたらしい奏。

「いくぞ。」

そう言って、急に消毒液をかけようとする。



「あ!まだだめ〜!

心の準備がdぎゃゃーーー!

いったあa ーーっ‼︎」



私の叫びは、奏の口付けに吸い込まれていったーーー






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