君色のソナチネ
ということで、やって参りました、真夏のビーチ‼︎
…じゃなくて、梅雨前のビーチ、、、。
さすがに、まだ海水は冷たいよね。
ヒールと靴下脱いで、ワーーーーーって走って突っ込んで、パシャパシャしたかったのに…。
「それは諦めよう、うん。」
「あたりめぇだろ。
そんなことしたら、お前すぐ風邪ひくだろ。
あ、バカは風邪ひかないってか?」
…考えてること、またよまれてる。
じゃなくてっ、
「し、失礼なっ!
バカじゃなーーうっうぉわッ!!」
いきなり手引くなっつーの!
砂に足とられるじゃんかっ‼︎
「ほら、隣座れよ。」
最初からそう言ってくださいな、ソウスケさん。ぷっ。
「キモい。」
「がーんっ‼︎」
まぁ、そんなやりとりしながらも、奏の隣に座ってるんだけどね。
「奏、聞きたいことが沢山溜まってるんですけど?」
「あ?」
「なんでこんな場所しってるの?」
さっき駅で聞いてたのに、結局げんさんに遮られたからな。
奏が何か言いかけてて、気になってたんだよね。
「あぁ、俺昔ここに住んでたんだ。
生まれも育ちもここ、海の村町。
まぁ、小学校入学する前までだがな。」
「えええぇーーーー‼︎‼︎」
こ、ここが奏の出身地ですか、、。
なるほど、そりゃ知ってますわな、こんな素敵なところ、うん。
なんとも羨ましい限りです、はい。
こんなにも綺麗な海が身近にあるなんて。
…ここが、奏の原点か。
そういえば、何故か今日の奏が子供っぽく感じたのも、小さい頃を過ごした土地に来たからかな?
「海の村町がまだ村だった頃は、この海、もっと綺麗だったんだぜ?」
「へぇ〜。
今も十分綺麗なのにね。
でも、その時の海も見てみたかったな。」
…できれば奏と一緒に。
「気に入ってくれてるみたいでよかった。
げんさんが顔見せろってうるせぇから、いつか来なくちゃいけねぇとは思ってたんだが。
お前も連れてきてよかった。」
「うん、ありがとう!
これてよかった。
奏の昔を知れてよかった。
あ、げんさんとはどういう関係なの?」
「なんか、親父がパリ留学中に、知り合ったって言ってたぞ?
友人に紹介された相手が、その当時、イタリアで料理の修業していたげんさん。
たまたまパリに旅行に来てたらしい。」
「え、てことは、イタリアンって、げんさんの店ってこと?
…げんさん、シェフ?」
「あぁ。ああ見えて、超一流のな。
なんか、イタリア料理のコンクールで1位とった数少ない日本人だとか…。
詳しくはしらねぇけど。
あ、因みに今日行くげんさんの店、三つ星だから。」
ま、まじですか…。
人は見かけによらないとは、この事ですね、はい。
というか、まだ私達高校生なんですけど…。
絶対場違いだよね?
か、金、どうすんの…?
私、そんな今日もってきてないよ…?
服、もっと違うのがよかったんじゃない?
ぎゃーーー!
考えたらきりがないじゃん‼︎
無理だよ、食べたいけどさ、いろいろと無理‼︎
「完全予約制。
客は俺たちだけ。
特別に今日は貸切状態。
金の事は考えるな。
…お前、全部声にでてたぞ?」
あの、なんだかもっと行きづらく感じたのは私だけでしょうか?
金の事は考えるなって、そんなの無理難題…。
いやぁさ、そりゃあ確かに、全国まわってコンサートだ何だやってて、こっちは稼いでるんだろうけどさ、ねぇ?
なんだかそれでもすごーく、お金を出してもらうって気がひける。
だってさ、一応まだギリギリ学生の身分でして、普通じゃありえないからさ…。
「確かに全然払えるが、今回は、げんさんから頼まれたんだ。」
「え?どういうこと?」
「まぁいけば分かるさ。
ほら、もう時間だ。
とりあえず、行くぞ。」
「ま、まじ?」
「まじ。
そんなに身構えなくていいから。
こっちは頼まれてるんだ。
それに、お前イタリアン食いたくねぇの?」
いや、身構えない方がおかしいから。
頼まれてるってなによ。
イタリアン、食べたいけどさ、大丈夫なの、これ?
食べない方がいいんじゃないの?
食べない方が…
うん…
…
「食べたい…。」
食欲には勝てません。