君色のソナチネ
だが、''徐々に''探っていく必要なんてなかったみたいだ。
こいつおもしれぇ。
他人、特に女になんか興味のない俺に久々にそんな感情を出させた女。
第一印象、かなりズレていて天然。
とんだふざけた奴。
今、目の前で俺のことを指差して固まっている女。
この女が、この前のコンクールで弾いていた水姫 純怜だ。
思わず、
「神峰 奏だ。なんか俺の顔についてるのか? 」
からかっていた。
いつもは、ウィーンにいたときから、面倒事に巻き込まれたくなくて取り敢えず敬語を使っていたのだが、敬語を使うことも忘れていた。