君色のソナチネ





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沢山食べた後でも、何故かデザートって入るよね。


「美味しい本場のイタリアンなんて、私、初めてだったよ。
奏、本当にご馳走になってよかったの?」


「あぁ。

あそこにピアノあるだろ?
夏休みの間、ピアノ弾いてくれって頼まれたんだ。
それと引き換えだし。」


「そういうことだったんだ!」




ちょっと安心。




「奏、本当にありがとう。」


「いいえ、どう致しまして。
喜んでもらえて良かったです。」



奏のその口調がくすぐったくて、2人で笑った。



「じゃあエミリアさん、俺たち帰ります。
ご馳走になりました。」


「とても美味しかったです。
ご馳走様でした。」


「ありがとう。
奏くん、夏はよろしくね。
純怜ちゃん、また来てね。」


「はい、またきます。」



本当はすぐに来たいですけど、いつか、自分で稼ぐようになったらまたきます。

それか、奏と一緒になれたら、また連れてきてもらいます。



「そうすけーー!
送ってくから待ってろー!」


厨房の中から聞こえてくるげんさんの声。



「帰りは大丈夫。
純怜と歩いて帰るから。
げんさん、すげぇ美味かった。
また来るな。」



そのげんさんに大きめの声で答える奏。



「そうか、気を付けてな。
純怜ちゃん、元気でな。」



ヒョコっと厨房から顔を覗かせたげんさん。

手離せないんだろうな。


「ご馳走様でした。
げんさんこそ、お元気で。」




私達は、げんさんのお店を後にしたーーーーー




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