君色のソナチネ




浴衣売り場に着いた私たち。

息は物凄くきれてるけどしょうがない。

かまうもんか。



シーズンのせいで、種類が豊富すぎる!

選ぶのが面倒くさい!

選ぶことに集中力を使うことが今はもったいなくて仕方ない。

絶対普段なら1つ1つに感動しながら選べるくらいの心の余裕があったと思うのにー!

今はない。

くそー、選んでやる!

最大限の集中で!


「やるぞぉーーー!」

「ちょ、ちょっと純怜、落ち着いてー!」


「落ち着けるかー!
華菜は見てて!」



これでもない、これでもない。

そうやっていくつもの掛かっている浴衣をめくること10分。



「あ、あったぁーーーー!!!」



派手なのは絶対にいや。
でも地味なのもいや。


安いけど安っぽくみえないもの。


紺色の生地に薄ピンクの撫子の花がちりばめられてる。


帯は濃いめの赤。
目を凝らしてみると、若干雑なところはあるけれど、同色の光沢のある糸で刺繍まで入ってる。
少し離れれば全く気が付かない程度で、上品。



これだっ!

やっとみつけた、トキメク浴衣!



生産国なんて気にしない。

オシャレならどこ製でもウェルカムさっ!


決まりっ!!

レジへダッシュ!



「ふぅ、終わったぁ。
華菜、お付き合いありがとう。」

「うん、全然つきあってないけどね。
でも、いいの見つかってよかったわね。
純怜って、自分のこと全くわかってない割には見る目あるし、オシャレだよね。」

「容姿で勝てないから。
まぁ、オシャレしても全くダメだけど。」

「はいはい、そういう事にしとくわ。
明日の集合時間、分かってるわよね?
その3時間前にはセット始めること。
出来なかったら呼んで!
いいね?」

「はぁーい!
ばあちゃんにしてもらうよー!」

「じゃあまた明日。
集合場所でね!」

あ、そっか、華菜のウチ、ここからすぐだったな。

「うん、ばいばーい。」


ささ、帰ろー!

明日の分も今日弾いておかなきゃな。

よし、頑張るぞっ!



そう思いながら、家に向かった。





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