君色のソナチネ




そうこうしていると、樹音と野中先輩も集まった。


黒地に花が咲いている浴衣を着ている樹音。
そんな大人っぽい浴衣が似合う樹音を羨ましいなぁ〜なんて思ったり。


あ、そういえば、野中先輩と話すの初めてなんだ。


どんな人なんだろう。
樹音の話の中でしか知らないから、少し緊張する。


そう思ってたけれど、先輩はすごく面白い人で、すぐに打ち解けた。


こうして、私たちのトリプルデートは始まった。



「おい、ちょっと待てって、俺忘れんなよ。」


「あ、宮田…。
忘れるわけないじゃん。」


「いや、純怜、お前完全に忘れてたよな。」


もう、奏のやつ。
そういう事は黙っててよ。


「わ、忘れてました。
ごめんちゃい。」


「ぜってぇ許さねぇ。
水姫、お前後からりんご飴奢れ。」


「ぷ、宮田ってりんご飴好きだったの?」


「うるせぇ、春咲はいつもひと言多いんだよ。」


照れて頭を掻きながらそんなことを言う宮田が面白くって、皆んなで笑った。


「じゃあ、全員揃ったし、楽しもう!」


樹音の元気な言葉で、夏祭りの灯りの元へ歩き出した。


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