君色のソナチネ




ー華菜sideー




神峰奏がウチのクラスに転校してくるということを聞いたのは、純怜と朝の練習を終えて、教室へ着いて、樹音と話をした時だった。




「ガセなんじゃないの〜?」




なんて聞き返したのは、編入でこの学校の音楽科に入るのは入試より困難で、確率はほぼ0に等しいから。




出てきた言葉とは裏腹に、私の心は弾んでいる。




あの、神峰 奏なら編入できる可能性があると思うからで。

それだけの才能を彼は持っていると思う。




純怜はというと、さっきから変な顔をして気を飛ばしているみたい。




まぁ、いつものことだから気にしない気にしない。




さっきから、学級委員で頼りになるけど、少しミーハー女子の白井 篤実ちゃんが、向こうの方で興奮してる。




「もし、本当に、奏様がこの学校に転校して来られたら、全体私の演奏をきいてもらうの‼︎
そして、あわよくば私の彼氏にn」

「ならないわよっ‼︎パコンッ‼︎」




なんて少し頬を赤く染めて言うけれど、それを空きペットボトルで叩いて突っ込みを入れたのは、富谷雪美ちゃん。




白井篤実[sirai atumi]、通称あっちゃんと、
富谷雪美[tomiya yukimi]、通称ゆきちゃんのコンビはすっごく面白いの。




6歳のころから同じ門下生なんだそう。




私たちから見たらすごく仲がいいように見えるけれど、本人たちは仲良くなんかないもんっていってるんだよね。




まぁ、たしかに性格は真反対。

あっちゃんは熱くて情熱的な人。

ゆきちゃんは冷たくて冷静な人。




でも、どことなく発するオーラが似てて二人とも図太い。

だからクラスのみんなから、あっちゃんは『炎の女王』、ゆきちゃんは『雪の女王』なんて密かに言われてたりする。




二人ともお互いを認め合ってて、信頼もしてるように見えるから、絶対仲良いと思うのにな〜!

二人とも照れ屋さんで素直じゃないんだよね〜。




ちなみに、2人は声楽を専攻していて、あっちゃんはメゾソプラノ、ゆきちゃんはソプラノだよ。




2人は、重奏なんかもずっとやってて、それはそれはすごいんだよ‼︎




もう、最初から最後まで鳥肌が立ちまくり‼︎




そんな素敵な演奏するんだから、きっとお互いによく理解してると思うんだ。



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