君色のソナチネ
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「ーっあ‼︎」
ご、ゴメンナサイ。
ゴメンナサイ。
「はぁ、だめだ。」
練習に集中しなきゃと思うのに、どうしてもとらわれてしまう。
…こんなんじゃ試験間に合わないよ。
「あと1週間しかないのに。」
ミスタッチする度にゴメンナサイが付いて口に出てくる。
1ヶ月前まではあんなに音楽の事を考えて弾いていたのに、今はそんな余裕もない。
集中して弾かなきゃ下手くそになるだけだ。
そう思うと怖くて怖くてピアノに向かいたくない。
けれど向かわないと、必然的に下手になる。
そんなの黙って受け入れられる筈もない。
練習してもしなくても下手くそになっていっている感覚が胸に嫌に広がり、焦ってくる。
でも今の私にはそんなスランプを跳ね返す方法すら全く浮かんで来なかった。
「完璧に悪循環だよ…。」
呟きながらピアノの譜面台へおデコをくっ付けると、なんだか情けなくなってきた。
今まで頑張ってきたのは何の為だったんだろう。
無駄だったんじゃないか。
悪循環のおかげか、嫌なことがポンポン出てくる。
やめよやめよ。
気分転換に風呂入ってこよう。
久しぶり練習を放り出してしまっていた。