君色のソナチネ
それから純怜のコンクールまでの1ヶ月間は、とてつもなく時間が長く感じた。
日に日に窶(ヤツ)れ、覇気がなくなっていく純怜。
そんな彼女を隣で黙って見守ると約束した手前、指を咥えているしかない。
彼女の変化に、クラスの奴らも気がつき、心配する。
「ねぇ、神峰君、どうにか出来ないの?
なんで心配してるくせに助けようとしないのよ。
お願いだから助けてあげてよ。
純怜を救えるのは神峰君しかいないの。」
春咲と夏川がイライラをぶつけながら懇願してくるのには流石に俺の決心もぐらつく。
「申し訳ない…。」
そう言うと、意味がわからないとでも言うように、
「喧嘩でもしたの?」
夏川が聞いてくる。
そんなわけないだろうがっ!
叫びたくなるが、確かにそう思われても仕方がないのかもしれない。
それだけ今の俺達は奇妙で危うく見えているのだろう。
「そんなわけ、ない。」
それだけ言うと、納得はしてないものの、何かあるのだろうと察してくれた2人。
2人も、クラスの奴らも、同調するように純怜にいつも通り接しながらも、詰め寄り問いただすことをせずに見守っている。
なんてできた奴ら。
''純怜、お前良い友達もったな。''
そう笑って純怜に言う事が出来る日を切実に願わずにはいられなかった。