君色のソナチネ
ー奏sideー
日曜日にあった純怜のコンクールから4日たった。
今日も学校にこなかった純怜。
体こそあまり強くはないが、学校を休むことは、俺がこっちに越してきてからは一度もなかった。
心配になりメールや電話をしているが、電源が入ってないのか、繋がらず、返信もない。
クラスの奴らも心配している。
今日のところ、純怜の家に訪ねてみるか。
そう思い、先生から配布物を預かり帰っているところだ。
心配しているのは、純怜が学校にこないことだけではない。
あのコンクールの結果を揶揄する奴らが彼女を傷つけているのではないか危惧している。
前に純怜の小さい頃から追いかけて密着取材をしていた音楽雑誌。
その雑誌には、今回のコンクールの結果をうけて、''期待はずれの演奏''と書かれていた。
それだけではない。
ほかの音楽雑誌や、地元の新聞にも批判的な内容の記事が載せられている。
''神童、ちやほやされ自分を見失ったか''
心の無い言葉の数々が、信じられない。
酷すぎて現実味がない。
いったい彼女が何をしたというのだろう。
人の粗探しをするのがそんなにいいのだろうか。
最近のメディアのやり方にはどうも納得がいかない。
もしも、彼女の目にその文字が入った時のことを考えると震え上がる。
それでなくても辛いはずの今。
彼女の心が壊れて閉ざされていないか心配でたまらない。
焦りながら純怜の家の門にたどり着いた時、玄関の方に救急車が止まっているのが見えた。