君色のソナチネ
「…そ、う…?」
「少し落ち着いたか…?」
顔を上げるとピアノを弾いていたのは奏で…。
「…お母さんじゃ無かったんだ…」
「お母さんじゃなくて悪かったな、マザコン純怜ちゃん。」
「もーう、そんなんじゃないって。」
お母さんじゃなかったのは、少し寂しくもあったけれど、でもそれ以上に、奏が私のためにその曲を弾いてくれた事が嬉しい。
「…ほら。」
「へ?」
目の前に差し出された白い封筒。
「お前のばあちゃんから預かってきた。」
ーーーーー大人になった純怜へ