君色のソナチネ
ポロポロと零れ落ちていた涙は、手紙を読み進めるうちに益々溢れ始める。
霞む視界。
拭いながら最後まで読んだ時には、もう止まらなくなっていた。
この手紙のおかげで本当の本当に愛されていた事を実感する。
安心と、温もりと、幸せと、申し訳ない気持ちが入り混ざって混乱して、軽く泣き叫び、嗚咽が止まらなくなってくる。
そんな時。
ーーーーふわッ
優しく抱きしめられる。
そしていつかの、あの時のように、優しく背中をポンポンしてくれる。
そのあたたかさに、涙は堰を切ったように流れ出した。
「おいおい、益々泣いてどうする。」
笑いながら、またあの時のように呟く彼。
「まぁ、泣き止むまで俺がずっとこうしててやる。」
そんな彼は、あの時になかった言葉を優しく付け加えてくれた。
奏のやさしさに甘えながら、しとしとと涙を流しているうちに、段々と眠くなってきた。
私、今、生きてきた中で一番幸せ。
そう思いながら、気が飛びそうになる。
ーーー少しずつでいいから、いつかお前の本当の、お前の色の音楽を聴かせろよ。ーーー
ふわふわとした浮遊感の中で、そんな声が聞こえた気がした。
そしてそのまま、心地良い眠りについたんだ。