君色のソナチネ




「 はいはい。
純怜、昨日のコンクールお疲れ様。
グランプリおめでとう‼︎ 」




打って変わってそんなことを言ってくる調子のいい奴。




「 ありがとう‼︎ 」




そう思いながらもやっぱり友達からの″おめでとう″は嬉しいんだよね〜。




「 純怜、かっわいい〜‼︎ 」




私の顔を覗き込みながら腕を突っついてくる彼女を、速歩きして突き放す。…フリ。




いつも朝から、朝刊で私のコンクールの結果をわざわざ調べて、御祝いしてくれる。

そんな私の1番の理解者を突き放すなんてこと、できないんだ。




そうこうしていると、30分かかる学校までの道のりもいつものようにスグに時間が過ぎてゆく。




さっき、鳥のさえずりや朝の澄んだ空気が好きで、満喫したいから歩いて登校してる。




な〜んて言ってたけれど1番は、心のおけない親友と話すことが楽しいからなのかもしれないな。




もう少し話していたいと思いながら、最近一段と秋の香りが増してきた校門をくぐった。






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