君色のソナチネ
「純怜、おっはよ〜‼︎」
いつもの如く、元気に現れる華菜。
「おはよう、華菜。」
こんなに寒いのに、なんでそんなに元気でいられるんだよ。ちょっとだけ尊敬する。
「純怜、元気ないじゃん。どうかした?」
「寒いから。」
「もう、そんなだから寒くなるのよ!
元気だせば寒さも吹っ飛ぶよっ!」
はぁ。どんだけ元気だよ。
「大丈夫。昼頃になったら自然と元気でてくるから。」
「純怜って、のんきだね。
まぁ、それもすみれらしくっていいのか。」
のんきなのかなぁ。
「あっ、そういえば、決心した?」
何を?
「文化祭の。」
ん?
「先週の金曜の7限目のHRで、純怜、文化祭の実行委員に推薦されてたじゃない。」
「へ?何それ。」
「はあ?文化祭あるのは知ってるでしょ?
4月の1日と2日の2日間。」
「へ?」
「その文化祭の実行委員決めがあって、誰もやりたくないっていったから、推薦で、純怜が上がったのも分かってるわよね?」
「うん?
はぁ〜〜〜⁇‼︎」
えっちょっと待ってちょっと待って、なにそれなにそれ‼︎
「純怜、嘘でしょ…。」
先週の金曜日の7限目だよね、何してたっけ。
えっと、えっと、
最初は、先生がいろいろ進路のこと話してて…
ん?そっからの記憶がないぞっ!何故だ?
「何故だ?じゃないわよっ‼︎」
「ありゃ、聞こえてた?」
「思いっきり口にでてたわよ。」
「寝てたんじゃないでしょうね〜‼︎」
っあ。
「…寝てたのかな?」
「知らないわよ‼︎
純怜って、
頬杖ついて、目を開けたまま寝れるの?」
「…寝れたっぽい。」
「はぁ〜。
どこまであんたって女子は器用なのよ。
じゃあ、あれは了承する''頷き''じゃなくて、
寝てて、手から顎が落ちただけなのね。
何かぎこちなかったから、不思議だと思っていたのよ。
これで納得したわ。」
「華菜ちゃん華菜ちゃん、どうしようー‼︎」
「知らないわよ。やっかいな寝かたをしていた純怜が悪い。起きているか、机に突っ伏しているかしてればよかったのよ。」
そんなぁ。
この前あんなに華菜に怒られたから、それからもう絶対授業サボらないぞって思ってたのに。
…もしかして、それが裏目に出たとか?
あー、絶対そうだ!全然もしかしてじゃない!
「ってか、なんで来年度のことなのに、今きめるのよ‼︎」
「それもこの前説明されたわよ!
毎年この学園の文化祭は一般公開もされてて、本格的すぎるから、春休みの間に準備しなきゃ間に合わないらしいの。
現在の3年生は卒業するから、実際に企画、準備、運営するのは、現在の1年生と2年生。
来年入学する新1年生はお客さん目線で参加するだけらしいよ。
私たちもそうだったけど。
だから、クラス替えも3年間ないの。まぁ、音楽科は人数少ないし、そこは関係ないけれど。
話逸らさないで、受け止めなさい。推薦されたの純怜だけだから、もうほぼ決まりなのよ。」
「うわーんっ!
なんだそれっ、大変ってことじゃないか〜‼︎」
「それはみんなよっ‼︎
人数少ないせいで、
みんなそれぞれ係があるんだからっ!」
…そうなんだ。
「そっか。じゃあやるしかないのかな…」
「そうよ。因みに、男子の実行委員は神峰君だから。」
…
「ぜぇぇったい、ぜったいやらなぁぁーい‼︎」
私が叫んだ声は澄み渡った真っ青な空へと消えていった。