君色のソナチネ




HRで、純怜を実行委員にした。

かなり強引に。

案の定、純怜は怒る。

だから、その時に担任が言ったことも耳に入ってなかったのだろう。

放課後にあると言われた実行委員の会議。

全く知らない様子の純怜に声をかける。


「お前、また忘れてたのか?」


そう言うと、

「忘れてないもん。」

口を尖らせて睨む純怜。

いや、本人は睨んでるつもりなのだろうが、身長差が20センチくらいあるから、上目遣いになっている。

不覚にもそんな純怜を可愛いと思ってしまった俺。

返事をするのに時間がかかってしまった。

「神峰、声かけてくれてありがとね。」

返ってきた言葉。

こいつが今までありがとうなんて言ったことあったか?

また無自覚か?

こいつといると本当に調子が狂う。

そっけなく返してしまったじゃねえか。


その後の実行委員の会議で、らしくなく、真剣に自己紹介をして、意気込みを語っていた純怜。

こんな顔もするのかと思いながら彼女を見る。


会議の内容が頭に入っているか、入っていないか自分でも分からずに、メモだけをとっていた。






< 59 / 278 >

この作品をシェア

pagetop