君色のソナチネ
HRで、純怜を実行委員にした。
かなり強引に。
案の定、純怜は怒る。
だから、その時に担任が言ったことも耳に入ってなかったのだろう。
放課後にあると言われた実行委員の会議。
全く知らない様子の純怜に声をかける。
「お前、また忘れてたのか?」
そう言うと、
「忘れてないもん。」
口を尖らせて睨む純怜。
いや、本人は睨んでるつもりなのだろうが、身長差が20センチくらいあるから、上目遣いになっている。
不覚にもそんな純怜を可愛いと思ってしまった俺。
返事をするのに時間がかかってしまった。
「神峰、声かけてくれてありがとね。」
返ってきた言葉。
こいつが今までありがとうなんて言ったことあったか?
また無自覚か?
こいつといると本当に調子が狂う。
そっけなく返してしまったじゃねえか。
その後の実行委員の会議で、らしくなく、真剣に自己紹介をして、意気込みを語っていた純怜。
こんな顔もするのかと思いながら彼女を見る。
会議の内容が頭に入っているか、入っていないか自分でも分からずに、メモだけをとっていた。