君色のソナチネ




私達は校門から続く学園内の坂道を登って、丘の上に建っている音楽棟の東校舎の練習室へ向かう。



そういえば、入学式のあの日、桜がひらひら散ってて、とっても綺麗だったよなぁ。


門から校舎まではスゴく距離があるのに、ズラーッて桜が並んでるの。


本当に、春は圧巻だよ〜。


それで、ここらへんの桜の木の下で初めて華菜に出会ったんだ。


初対面なのに、音楽の話で盛り上がっちゃって、2人とも入学式に遅刻しそうになっちゃったんだよね。


でも、それがすごく嬉しかった。このご時世、クラシック音楽はあまり人気がなくて、小学校、中学校と私の話を理解してくれる人なんて誰もいなくて…。


しかも、小さい頃からレッスン、練習漬けの日々。テレビや漫画なんか見る暇もなかったから、友達と会話なんて楽しんだこと一度もなかった。




だから、高校生になって、初めて趣味が合う友達に出会えて、すぐに意気投合したんだ。




こんなに毎日が楽しくて、心から笑えるかけがえのない友達に出会えたこと、神様に感謝しなきゃね。




華菜と仲良くなって間もないころ、2人で約束?誓い?みたいなものをしたんだ。



朝一緒に早めに登校すること。


そして、沢山練習しようって!


そうして休日を除いて毎日、私たちは始業の1時間半前くらいには学校に登校して練習するようになったんだ。



同じ時を同じように頑張ってる人が近くにいる事に、かなり勇気をもらってるんだぁ。

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