君色のソナチネ



ー純怜sideー



「どうするかなぁ〜。」


今日の朝の練習は、華菜に伝えてやめることにした。

だって、いろいろ決めなきゃいけないからさ。





練習より、実行委員の仕事をとったけれど、どうか、ピアノの神様、私から離れて行かないでください。

私の心はいつもあなたのそばにあります。


なんて言うのは、こうでもしないと、ピアノの神様はすぐに離れていくから。



たとえ何時間練習しようとも、そこに''心''がなければ、下手くそになる魔法をスグにかけるんだ。


「本当に、気まぐれで、手厳しい神様なんだもんなぁ。」






まぁ、それはそうと、私は早速、メモ用紙をとりだし、シャーペンを手にとる。


…とったのはいいけれど、


「ミュージカルって…。
語って、歌って、踊るやつだよね?」


それを作るところから?
まずなにから始めればいいのか分からない。







そう思っていると、


「おいっ。」

「うわぁおっ‼︎」


なんだ、神峰か。びっくりするじゃん。


「神峰、早いね。」


「あ?遅いくらいだ。いつもはもっと早い。」


「おじいちゃんだね。今日は寝坊したんだ。」


「うるさい。」


あー、なるほどね。
朝から家で弾いてきたな、こいつ。


「ほら、さっさとやるぞ。」


やるってなにを?


「は?お前、ミュージカルのこと考えてたんじゃねぇのかよ。」


「そうだけどさ。」


「どうせ、何から手つけていいのか分かんねぇんだろ?」


「はいっ、もうまったく。
そう言う神峰も分かんないでしょ。」


「あ?お前と一緒にすんな。」

くっそ、ムカつくぞ、久々に。




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