君色のソナチネ
「は?最初から分かってたのか?」
「お前を見ていて分からない方がおかしい。」
まじかよ。
俺、そんなに分かりやすいのか。
「それはそうと、いっそのこと、フリじゃ無く、本気でキスしてみたらどうだ?水姫に。」
「は?お前なに言ってんの?」
何を言いだすかと思えば、ぶっ飛んだ事を。
「いや、そしたらお前、吹っ切れるんじゃねぇかと思って。
''演技''でそうせずとも、''自然''と演じれるかもしれないだろ?」
あのー、新矢様、お前かなりぶっ飛んだこと言ってるの気づいているのか?
普通に考えて、
「ムリだろ。」
「何でだ?
向こうではキスなんて日常茶飯事だろ。」
「ここは日本だ。
それに、そんな事したら純怜にぶっ飛ばされる。」
「あぁ、そうか。」
あぁ、そうかって。
根崎よ、しっかりしろ。
そういえば、
「新矢、お前彼女いたんだな。」
「あぁ?
俺お前に彼女いるとか言ったことあったか?」
「いや、ないが、少なくともお前は俺より上だろ。
人を本気で好きになることに関して。」
でないと、俺自身でも最近やっと気づけたこの気持ちにお前が気付けるわけねぇだろ。
「ふうーん、まぁいいや。
そういうことなら、これからなんでも相談しなよ、''後輩''君‼︎」
少しイラっときたが、まぁいいか。
「あぁ、そんときはよろしく頼む。」
新矢の新たな一面も見れたことだ。
しかし、こいつを好きになった女ってどんな奴なんだろうな。
言いにくいが、新矢もかなり変な奴だ。
そんな男を選ぶ彼女って。
まぁ、新矢はいつか紹介すると言ってたことだ。
今は目の前のミュージカルに集中するべきだな。