君色のソナチネ




「じゃあ純怜、一時間後ね!」



今日も私達は隣同士、練習室へ入る。



グランドピアノの天板を少し押し上げて、二番目に長い棒で天板を支えると、年季の入ったピアノの独特な香りが広がってくる。




新鮮な空気を取り入れるために、カーテンを開け、窓を開ける。




やわらかな朝日の光がグランドピアノの天板に反射してとても綺麗なんだ。




本当は太陽光にあてるのあまりよくないんだけどね。

まぁ朝日だからいいかぁなんて勝手に自分に言い聞かせてる。




「もう、秋だなぁ。」


なんてつぶやきながら、10分くらいボーッと外を見る時間がたまらなく心地よい。




「さぁ、今日も頑張りますか!」


自分に喝をいれ、窓とカーテンを閉めてピアノに向かう。




ー-♪~




「うん、今日もいい音だしてるね。
よろしくね、ピアノさん。」




''ピアノへの思いは自分に返ってくる''



小学生の時。

気づけば私の心の中に聞こえていた声。

それからかな。

ピアノへの挨拶を欠かさなくなったのは。




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