君色のソナチネ
「紗良、ただいま。」
「おかえり、ルーカスっ‼︎」
「なんだ、ちょっと疲れているのか?」
「ルーカス、ごめんね、ごめん。
まだ、人気女優になるどころか、見習いも抜け出せてないの。」
「…そうか。でも、頑張ってるんだろ?」
「うん。」
「じゃあ絶対結果はついてくる。」
「…うん。」
「紗良には演じる事で人を幸せにする力があると思うから。」
「そんなこと言われても…」
「大丈夫だ。
今が踏ん張り時じゃないのか?」
「…でも、もう私、だめかもしれない。
苦しくって、辛くって、あんなに好きだった演じることが嫌いになってるの。
…もう、日本に帰りたい…。」
「…あぁ、そうか。」
「…え?」
「じゃあ帰れっ‼︎
そんなに甘いこといってるやつが、舞台女優なんかなれるはずがない。帰れっ‼︎
もう、お前の顔なんか見たくもない。」