君色のソナチネ




「おい、ルーカスッ‼︎」


「…あぁ、ノアか。」


「お前、本当に紗良ちゃんにあんなこと言ったのかよ。」


「…あんな事って?」


「日本に帰れって。」


「…あぁ。」


「あぁってお前なあッ‼︎」


「なんだよ、お前に俺の気持ちなんてわかんねぇだろ。
もうあいつの苦しんでる姿みたくねぇんだよ。」


「お前の気持ちなんか知らねぇよッ‼︎

お前は今まで紗良ちゃんがどんだけ頑張ってきたか知ってるのか?

お前と同じ舞台に出たい一心でここまでやってきたんだ‼︎

お前、紗良ちゃんの気持ちと努力、踏みにじるつもりかよッ‼︎

無かったことにするつもりかよッ‼︎

お前は、紗良ちゃんが傷つくんじゃないかと怯えてるだけだ‼︎

それだけじゃない。
紗良ちゃんを信じれないままに、お前は傷つけた‼︎

本人は一心不乱に、がむしゃらに頑張ってるのに、そんな紗良ちゃんをお前が傷つけたんだよッ‼︎

お前はヘタレだッ‼︎

俺は、そんなお前を絶対許さねぇ‼︎

愛するなら、一生愛し通してみろよッ‼︎






…それが男ってもんだろ。

人気俳優が聞いてあきれるぜ。」




「…。」




「紗良ちゃんなら今空港だ。
13:00発、成田行。」




「…いってくる。」



「当たり前だ。」



「ノア、ありがとう。目が覚めた。」



「あぁ、お前のためならこのくらいどうってことないさ。頑張れよ。」







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