君色のソナチネ
「紗良ッ‼︎」
「ルーカスッ‼︎来てくれたのね‼︎
ルーカス、ごめんね、ごめん。私弱かったわ。もっと頑張るから。」
「何言ってるんだよ紗良。
謝るのは俺の方だ。支えになってあげたかったのに、本当にすまない。」
「大丈夫だよ、ルーカス。分かってるから。
貴方は誰よりも人を愛せるがゆえに、心配性で…。
私の事も心配してくれたのよね。
でも、今度からは、あんな突き放すような事、嘘でも言って欲しくないわ。」
「あぁ、本当にすまない。
もう、絶対に言わない。
すごく、すごく良かったよ、紗良。
ピンクのドレス、似合ってて綺麗だった。
紗良じゃなきゃあんなに着こなせないさ。
堂々としてて、とても初めてとは思えなかったよ。
それにしても、こんなチャンス、誰が用意してくれたんだ?」
「ありがとう、ルーカス。
楽長さんよ。
主演を演じる予定だった女優さんが、事故にあったらしくって、急遽、私達見習いに白羽の矢がたったの。
その女優さんは大丈夫だったらしいんだけど。」
「でもよくあのオチ3から主役の座、勝ち取れたな。」
「えぇ、最初は自分達がやるっていって譲らなかったのに、あいつら、主役と聞いた瞬間顔色変えてトイレに駆け込んで行ったわ。ざまぁみろよ。
私、この劇場で演じられてる作品のセリフ、全部覚えてたから、できるっ‼︎って思ったの。」
「…紗良、やったなぁ。」