恋色シンフォニー

三神くんが私の肩に触れる。
あったかい、大きな手。
「うわっ、カチカチじゃん。頭痛くならない?」
「なる」
頭痛薬は手放せない。
「もー。会社でトイレ行ったときに肩を回すとか、お風呂で肩と腕の運動するとか、習慣づけたほうがいいよ、これ。つらいでしょ」

首、肩、腕をゆっくりマッサージしてくれる。

「三神くん、マッサージうまいね……気持ちいい……」

血がめぐって、ポカポカしてくる。
それでもって、少しドキドキしてくる。
だって、ねぇ……。好きな人に触られてるんだもん……。

手は背中から、腰に移動してくる。

しばらくして、三神くんが、

「お尻も凝るの、知ってる?」

と言い、お尻をマッサージし始めた。

「やっぱり凝ってる」

……あの。
変な感じになってくるんですが。
狙ってますか?

「女性は身体をほぐしておいたほうがいいよ」

遠くで聞こえていた声が、いったん止んだ。
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