恋色シンフォニー
「かなりいいモダン・イタリアン使ってただろ」
「三神だって、オールド・モダン・イタリアン使ってたんだから、立派に小生意気じゃないの」
「ランクはマリの楽器にかなわない」
マリ、って、呼び捨て?
それくらい、仲がいいの?
「それにしても懐かしいわぁ。10年ぶり? 今何してるの?」
「サラリーマン」
「違うわよぉ。音楽の話」
「アマオケでコンマスしてる」
「わー、やっぱりねぇ。圭太郎くん、音楽やめるわけないと思ってたんだぁ。よかったぁ」
「マリにも振ってもらってる。今度2回目」
「メンコンやるのよ、三神のソロで」
「プロの前で恥ずかしいから言うな」
「きゃー、聴きに行くわ!
……それにしても、懐かしいわねぇ、この感じ。コンクールの後によくこうやっておしゃべりしたよね。ボク、あの頃は、2人がいたから頑張れたの」
「私もそう」
「何いってるの。マリちゃんは、圭太郎くんしか眼中になかったでしょ」