恋色シンフォニー
ずん、と、胃の辺りが重くなる。
私が酔い潰れて三神くんの家に泊まった翌朝、設楽さんと早瀬さんが来た時、早瀬さんが三神くんを見つめていた視線を思い出す。
そういうことなの?
昔の三神くん。
私が知らない三神くん。
いい歳だもの。
お互い、過去があるのは当然のこと。
「設楽龍之介対策ってなに」
「あまりリハーサルできてないのよぉ。さっきのゲネプロで振り回されちゃったの。あれは絶対本番でも何かやらかしてくるわよね、マリちゃん」
「あんたの師匠、とんでもないわよ」
「そりゃ、まあ、全面同意」
三神くん、楽しそう。
対して、私は、それまでのウキウキした気持ちが一気に冷えてしまったのを感じていた。