恋色シンフォニー



日曜日18時。

「こんばんは」

玄関に姿を見せた三神くん。

ボストンバッグを提げ、ヴァイオリンケースを肩にかけてる姿が、ものすごくかっこよくて、ドギマギしてしまう。

「いっ、いらっしゃい。楽器、どこ置こうか? ここじゃ暑いけど、急激な温度変化もよくないと思うしっ」

「ここでいいよ」

三神くんは廊下にそっとヴァイオリンケースを横たえる。
うわー、高い楽器なのに、床に直置きだなんてごめんなさい。

三神くんは立ったまま動かない。あれ?

「お邪魔してもいい?」

「ご、ごめんっ。どうぞどうぞ。狭い部屋ですが」
まずい。自分、テンパってる。

「お邪魔します」

三神くんは靴を脱ぎ、揃えて、スリッパを履いて、荷物を床に降ろして、

私の前に立った。

3週間ぶりにちゃんとプライベートな顔を見る。
優しい微笑み。
ああ。やっぱりかっこいいや。
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