恋色シンフォニー
圭太郎が、こちらを見て、微笑んだ。
「家で待ってて」
「うん」
うなづく。
これだけで、充分。
「龍之介、サンキュ」
「おう」
圭太郎は、友人たちの元へ歩いていった。拍手で迎えられている。
「綾乃ちゃん、いいの?」
「いいんです。それより、素敵なお母様ですね」
「強烈でしょ?」
苦笑する設楽さん。
「今はイタリアにお住まいなんですか?」
「うん。親父と一緒に」
「お父様は……」
まさかのイタリア人とか?
「いやいや、バリバリのジャパニーズ。仕事の関係で向こうにいる」
はぁ、そうなんだ。