恋色シンフォニー

「ちょっと失礼。鷹彦!」

早瀬さんが呼びかけた方を見ると、ものすごいイケメンが、こちらに歩いてきた。

うひゃーかっこいい!

縁なしメガネをかけた、頭が切れそうな超美形。
背が高い。
スタイルいい。
歳は、30代後半、設楽さんと同じくらいだろうか。
セレブオーラを醸し出したこの方はまさか。

「綾乃さん、紹介します。こちら、私の夫です」

わーやっぱり‼︎

「早瀬鷹彦です」

ふっと、彼からエゴイストプラチナムの香りが漂ってきた。

そうか。
マリさん、仕事の時は、旦那さんと同じ香水つけてるんだ。
やっぱり、香水は鎧アイテムだったのね。
かわいいところ、あるんじゃない。

「橘綾乃といいます」

にっこり笑ってうなづいてくれる。
「あなたが、彼のmolto appassionatoを引き出した女性なんですね。彼には、とても魅力的な演奏で楽しかったとお伝えください」

……もう、やだ。恥ずかしさ再び。

設楽さんは“分かる人には分かる”って言ってたとはいえ、私の周りにかなり多いんですけど⁉︎

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