恋色シンフォニー
「……旦那は投資ファンドやってて、オレは彼のファンドから楽器を貸与されてる」
設楽さんが説明してくれた。
ひゃー、いい楽器なわけだ。
それなら、もっと愛想よくしてもいいのでは。
高額品の貸し借りがからむと、そうもいかないのかな?
ほんと、男のプライドは複雑だ。

「そろそろ撤収時間でーす! 移動お願いしまーす!」

スタッフの男性が声をかけて回り始めた。

「そろそろ帰ろうか。オレは、あの人回収していかなきゃならないんだけど、ひとりで大丈夫?」
望月さんとチェロの彼氏にからんでいる華子先生を見て、ため息をつく設楽さん。

「大丈夫です。設楽さん、本当に、いろいろと、ありがとうございました」

私は、深々と頭を下げた。

「こちらこそ。これからも、よろしくね?」






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