恋色シンフォニー
「あいつ、ここでサラリーマンしてんのか……」
目を細める。
まぶしそうに。
「初めてですか?」
「来る機会なんてないからね」
「それもそうですよね」
「あいつのこと……よろしくね」
「えーと……同僚として、見守らせていただきます……」
またも大笑いする設楽さん。
どこがおかしいんだろ?
「いやー、今日は楽しかった。またね」
ちゅっ……
って、えええっ⁉︎
何てことするんだ‼︎
設楽さんは、完全に無防備だった私の頬に、派手な音をたててキスをしたのだ。
その素早さといったら!
設楽さんは楽しげに手を振って、車に乗り込んだ。
走り去る青い車。
び、びっくりした……。
落ち着いて。挨拶だ。ただの挨拶。
外国に留学とかしていたに違いない。
気をつけて、って、こういうことだったの?
気をつけようがありませんでした、三神くん。