恋色シンフォニー
♫
その日の夕方の販促会議を終え、会議室を出ようとすると、三神くんに呼び止められた。
「橘さん、この間のことだけど」
はい? 何か仕事で保留事項があったっけ?
考えているうちに、他の人はみんな部屋を出て行き、2人きりになってしまった。
「ごめん、何だっけ?」
思い出せず、素直にきくと、三神くんは会社で見せたことがない、黒い笑顔を浮かべた。
「まさか、土下座して終わりじゃないよね?」
こいつ‼︎
だんだん本性あらわしてきたな!
「何をしてもらおうかなぁ」
三神くんは、うれしそうに、歌うように言った。
「とりあえず、ごはん、行こうか?」
♫
「6回って計算おかしくない?」
「1.酔ってからまれた。
2.車で送った。
3.家に泊めた。
4.朝ごはんごちそうした。
5.僕の練習きかれた。
プラスアルファで、6回」
三神くんの要求は、6回、私が食事をご馳走すること。
真面目な私は、あの後仕事を超特急で終わらせ、ただいま三神くんを車に乗せて、きちんと食事に向かっている。
なんでも、三神くんが行きたいお店があるそうで。