恋色シンフォニー
やばい。
とっさに目を閉じて、叫んだ。
「設楽さん、三神くんのこと、大好きなんだねっ!」
明るく、馬鹿っぽく。
一瞬の静寂ののち、三神くんが頬から手を離し、爆笑した。
重い空気が、一気に軽くなる。
目を開け、そっと深呼吸する。
よ、よかった〜……。
窒息するかと思った。
「橘さん……、面白すぎる……あはは」
ひくひく笑いながら言われた。
まあ、いいよ、もう。なんでも。
三神くんは笑いながら「お疲れ様」と言い、車を降りた。
静かにドアが閉められる。
ふぅーーー。
これ、あと5回もあるの?
三神くんの本性って……。
壁がなくなったと思ったら、どこまで見せるのか……。
私は大きなため息をつき、車を発進させた。